【コラム】自動販売機特例 - さいたま経理代行センター

自動販売機特例とは？

　まず、自動販売機特例について簡単に説明しましょう。これは、自動販売機やコインロッカーなど、機械装置を使用して決済が行われる取引に適用される特例です。
　特定の条件を満たす場合、通常必要なインボイス（適格請求書）なしで、帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められる制度です。

令和6年度税制改正による変更点

　令和6年度の税制改正により、3万円未満の「自動販売機・自動サービス機による課税仕入れ」と「使用の際に証票が回収される課税仕入」については、帳簿に住所などの記載が不要になりました。この改正は、令和5年10月1日以降の取引に適用され、手続きの簡素化が図られています。

誤りやすいポイントと対応策

ポイント1：帳簿の記載事項を正しく理解する

　自動販売機特例を利用するためには、帳簿に正確な記載が必要です。取引年月日や取引内容はもちろん、相手方の氏名または名称の記載が求められます。ジュースを自動販売機で購入した場合は「自販機」と記載すればよいとされていますが、複数の購入や異なる機械の使用の場合には注意が必要です。

　対策：一度に大きな金額の購入をする際や、複数の異なる機械での取引がある場合、それぞれの取引を正確に記録し、3万円未満の範囲で適用されるかをしっかりと確認しましょう。

　帳簿の記載事項

　・取引年月日
　・課税仕入れの相手方の氏名又は名称
　・取引内容（軽減税率の場合、その旨）
　・対象の額
　・特例の対象となる旨　※自動販売機でジュース等を購入した場合、「自販機」と記載で差し支えありません。

ポイント2：対象となる取引と対象外の取引を区別する

　自動販売機特例は、全ての機械取引に適用されるわけではありません。例えば、コインパーキングやインターネットバンキングは対象外です。一方で、コインランドリーやATMの振込・入出金サービスなどは対象となります。

　対策：日常的に使用する機械が特例の対象かどうかを確認することが重要です。対象外の機械を使用した取引に関しては、通常のインボイス制度に従った処理が必要です。

　◯対象となるもの

　・自動販売機
　・コインロッカー
　・コインランドリー
　・金融機関のATMによる振込・入出金サービス　など

　✖️対象とならないもの

　・コインパーキングや自動券売機
　・小売店内に設置されたセルフレジ
　・インターネットバンキングによる振込・入出金サービス　など

自動販売機特例の適用範囲

対象取引の具体例

　自動販売機での取引では、1回の購入金額が判定基準になります。
　たとえば、1本150円の飲料を20本購入して合計3,000円になったとしても、1本ごとの購入金額（150円）で判断されます。このため、3万円未満の条件を超えない限り、特例が適用されます。

具体例

　・自動販売機で1本150円の飲料を20本、合計3,000円分購入する場合
　　→　1回分の商品購入金額（1本150円）で判定する。

　・○○施設の入場券、1枚2,000円を4枚（合計8,000円）購入し使用する場合
　　→　1回の使用金額（4枚8,000円）で判定する。

まとめ

　この記事では、自動販売機特例に関する令和6年度税制改正の概要と、誤りやすいポイントについて解説しました。自動販売機を使った取引は日常的なものですが、適切な処理を行うことで税務リスクを回避できます。取引の際には、対象となる取引かどうかを確認し、帳簿に必要事項を正確に記録することが重要です。

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